症例: 40代女性。夜になると顔がほてって布団から足を出す。なのに手足の先は冷える。寝つきが悪い、口の乾き、疲れやすい。舌は紅・苔少、脈は細数。半年前から悪化。
① 一般の弁証論治なら
証:腎陰虚(+陰虚火旺)。滋陰降火(六味地黄丸/知柏地黄丸)。配穴:太渓・照海・三陰交。一見完結するが、「なぜ半年前から悪化したか」「なぜ足先だけ冷えるか」が説明されない。
② MLMN 10層で読むと
| L1 先天 | もともと陰虚傾向の素地。土台が燃えやすく乾きやすい |
|---|---|
| L2 病因 | 長年の労倦(過労)が陰を消耗させた起動因 |
| L3 臓腑 | 腎だけでなく肝も関与(疏泄失調がのぼせを煽る) |
| L4 気血津液 | 陰虚+気滞(ほてりと冷えの上下乖離を作る) |
| L8 相火 | 相火が位を外れて上に浮いている(=のぼせの正体)。下焦の火が上へ逃げるから足先が冷える |
| L10 時間 | 更年期の移行期。今後1〜2年は陰虚が進む前提で組む |
③ 何が変わったか
一般弁証は「陰を補う」で終わる。10層で読むと起点はL8相火——浮いた相火を下焦に納めない限り、いくら滋陰しても足先の冷えは残る。治療順は ①相火を引き下ろす(引火帰源/湧泉・太渓の使い方が変わる)→②滋陰→③肝の気滞に配慮して疏泄を通す。
同じ「腎陰虚」でも、"補う"のか"火を納めてから補う"のかで治療設計が180度変わる。単一証への還元では見えない。