論文・研究

論文の再構成と新たな投稿先の検討
古方派腹診の思想史的位置づけをめぐって

本プロジェクトでは、MLMN理論と日本漢方における腹診体系化をめぐる研究を、学術論文として整理し、外部の研究コミュニティに提示する作業を継続しています。論文は研究プロセスの一部であり、現在は 投稿先の選定と論文構成の再検討 の段階にあります。本ページでは、論文の中心命題、投稿状況、今後の再構成方針を整理します。

論文の中心命題

本プロジェクトの研究論文は、日本漢方における腹診体系化を、東アジア医学史の長期的な観点から位置づけ直す試みです。その中心命題は次のように整理されます。

日本古方派における腹診体系化は、中国古典医学の演繹的構造と日本的実証主義の帰納的達成との、二千年越しの接合として理解できる。 — 中心命題(日本語)
The systematization of abdominal diagnosis in the Japanese Kōhō school can be understood as a convergence, across two millennia, between the deductive structure of classical Chinese medicine and the inductive achievements of Japanese empirical practice. — Central thesis (English)

この命題は、腹診という日本独自の臨床技術を、単なる日本的特殊性としてではなく、中国古典医学が積み上げた理論的構造と、江戸期の古方派が達成した実証主義的方法論との、長期的な歴史的接続として理解する立場を提示するものです。MLMN理論は、この接続を多層的なフレームワーク上で記述する試みとして位置づけられます。

投稿状況の現在地

本論文は、これまでに2つの学術ジャーナルに投稿しました。両ジャーナルとも、編集判断により 掲載に至らず、原稿が返戻された 状況です。返戻の理由は、論文の学術的内容そのものを否定するものではなく、対象ジャーナルの掲載範囲(scope)との適合性に関わる判断が含まれていると本プロジェクトは整理しています。返戻を内容否定と断定することはしていません。

投稿先結果本プロジェクトの整理
投稿先①(医学・文化系ジャーナル)返戻Scope mismatch として整理。論文内容そのものへの評価ではない。
投稿先②(東アジア科学・技術・医学系ジャーナル)返戻Journal fit issue として整理。論文構成の再検討の必要性を示唆。
返戻をどう受け止めるか: 2件の返戻は、論文の中心命題やMLMN理論の研究的価値を否定するものとしてではなく、論文の 構成投稿先選定 の双方を再検討すべき段階に来た、というシグナルとして受け止めています。本プロジェクトは、論文の理論的内容を維持しつつ、より適切な投稿先と、より明確な論文構成を検討する作業に入っています。

返戻後の整理では、Google Drive 内の Paper Recovery 資料を確認し、初期論文候補、日本語完成系列、英文版、EAST投稿系列、CMC投稿・返戻系列を分けて扱う方針を確認しました。特に CMC 投稿系列については、本文・カバーレター・タイトルページ・投稿PDFをひとまとまりの検討単位とし、返戻理由を本文否定ではなく投稿先との適合性の問題として記録しています。

論文の再構成方針

現在の論文は、医学史的議論・理論論文・実装応用論文という性格の異なる複数の論点を一つの論文に含めようとする構成になっています。返戻を経て、本プロジェクトでは論文を必要に応じて 3系統に分割 することを検討中です。

A. 医学史論文

日本古方派・腹診・宇津木昆台を中心とした医学史・思想史論文。東アジア医学史・日本医学史系のジャーナルが想定読者。

B. 理論論文

MLMN理論そのものの構造、10層の定義、毒の概念、理論的位置づけを論じる理論論文。東洋医学理論・統合医学系のジャーナルが想定読者。

C. 実装応用論文

東洋医学臨床推論支援システムの設計、古典文献のデジタル化、臨床推論支援の応用を論じる論文。医療情報学・デジタル人文学系のジャーナルが想定読者。

3系統への分割は確定方針ではなく、再構成の作業仮説です。論文の中心命題は分割後も一貫して保持され、各論文がそれぞれ独立した論証を持ちつつ、相互に参照し合う関係になることを目指しています。

新たな投稿先の検討

3系統の分割案に応じて、それぞれに適合する新たな投稿先の検討を進めています。医学史系・理論系・応用系のそれぞれで、論文の中心命題と整合的な編集方針を持つジャーナルを選定する作業を続けています。投稿先選定は、論文構成の最終確定と並行して進めるべき課題として認識しています。

関連する研究資料の整備

論文執筆の基盤として、本プロジェクトでは関連する先行研究・参考文献の整理を継続しています。論文候補の文献を一覧化し、特に優先度の高い印刷候補10件についてはPDF化を完了しています(Paper Recovery)。これは論文の文献レビュー、および日本漢方・古方派関連の歴史的研究へのアクセスを整える基盤作業として位置づけられます。

無料公開・参考論考の整理

学術論文の本文そのものは投稿原稿として扱いますが、論文の背景となる考え方、資料群、古典文献の位置づけについては、無料公開ページとして整理しています。返戻後の再構成では、論文本文を公開するのではなく、読者が前提を確認できる導線を先に整える方針を取ります。

MLMN理論

論文の理論的背景となる多層ネットワーク構造、十層の考え方、臨床推論支援への接続を整理しています。

無料公開ページを読む

医学警悟・宇津木昆台

論文の中心人物である宇津木昆台と『医学警悟』の位置づけ、命題抽出、Viewer整備状況を公開ページとして整理しています。

無料公開ページを読む

腹診アーカイブ

日本古方派における腹診の研究導線として、腹診資料・Viewer・今後の整備課題をまとめています。

無料公開ページを読む

この整理により、投稿原稿の全文は保護しつつ、論文の中心命題を理解するための基礎資料を無料で確認できる状態にします。詳細な層別定義書、本文翻刻・書き下し・現代語訳、腹診DBなど、専門的に深い参照価値のある資料は、今後の研究ライセンスまたは会員向け知識ベース候補として別管理します。

研究プロセス

本プロジェクトの研究プロセスは、検証セッション形式で進められてきました。中国・日本の古典文献の照合を継続しながら、MLMN理論の10層構造と中心命題を整備する作業を重ねてきました。各セッションの記録は研究内部の作業資料として保管されています。

論文本文の取り扱い

論文本文は、ジャーナルへの投稿原稿として整備中の研究資料であり、本サイト上での全文公開は現時点で行っていません。論文の中心命題、再構成方針、投稿状況については本ページに記載のとおりです。今後、論文の構成が確定し、投稿先との関係が整理された段階で、概要・部分の公開を検討する可能性があります。

論文の構成、投稿先選定、再構成のスケジュールは、本プロジェクトの研究進展に応じて更新されます。本ページの記述は現時点での整理であり、今後変更される可能性があります。