症例: 40代女性。夜になると顔がほてって布団から足を出す。なのに手足の先は冷える。寝つきが悪い、口の乾き、疲れやすい。舌は紅・苔少、脈は細数。半年前から悪化。
症例表記について: 本ページは、東洋医学の理論体系を比較するために構成した教育用モデルです。記載する証・処方・経穴・治法は古典理論上の検討例であり、特定の患者に対する推奨、治療効果、因果関係を示すものではありません。
現代医学的な評価を先行してください。 実際の症状には、東洋医学的整理だけでは判断できない疾患が含まれます。急な発症、強い症状、意識・運動・感覚の異常、発熱、胸痛、呼吸困難、症状の持続・悪化がある場合は、速やかに医療機関へ相談してください。
① 一般の弁証論治なら
証:腎陰虚(+陰虚火旺)。滋陰降火(六味地黄丸/知柏地黄丸)。配穴:太渓・照海・三陰交。一見完結するが、「なぜ半年前から悪化したか」「なぜ足先だけ冷えるか」が説明されない。
② MLMN 9層へ配置すると
| L1 先天 | もともと陰虚傾向の素地。土台が燃えやすく乾きやすい |
|---|---|
| L2 病因 | 長年の労倦(過労)が陰を消耗させた起動因 |
| L3 臓腑 | 腎だけでなく肝も関与(疏泄失調がのぼせを煽る) |
| L4 気血津液 | 陰虚+気滞(ほてりと冷えの上下乖離を作る) |
| 層間病機(相火) | L1の陰虚傾向、L3の腎・肝機能変化、L4の陰虚・気滞を結び、「腎陰が相火を制約できず妄動した」という仮説を立てる。ただし相火は原観察でも独立層でもない |
| L9 時間相 | 半年前から悪化し、夜間にほてる。更年期の移行と今後の可逆性は継続観察で更新する |
③ MLMN上の比較仮説
相火妄動を独立層の結論にせず、「陰の不足→制約低下→熱化・上浮→消耗」という候補経路として置く。治療判断では、現在強い熱化・上浮、背景の陰不足、肝の気滞のどれを先に扱うかを比較し、治療後に夜間のほてり、足冷、口渇、睡眠、脈・舌がどう変わるかで仮説を支持または修正する。
相火は丸を付けて確定する層ではない。複数層の観察で支持・反証する病機ネットワークである。